女性たちの物語 #7
『Spark and Light』

『Spark and Light』
by So Yong Kim

「ママの容体は安定しているよ、静かに眠っている。運転気をつけて!愛をこめて パパ」。

エリザベスがテキストメッセージを受け取った直後に、眠っているのは彼女の母親だけではなくなって しまいます。エリザベスの車が、故障して動かなくなっていたのです。凍えるほど寒い中、あたりに民家は見えず、出来ることは、レスキュー隊を辛抱強く待つことだけ。彼女はエアベントに若々しい手をかざして温め、うたた寝をして不思議な夢の世界に入っていき、その後さらにシュールな目覚めを迎えます。アイスランドの景色がエリザベスの思い出と溶け合い、怖れが魔法のように心地よく美しいファブリックに形を変えるのです。そして、二階の部屋に一人きりの父親。

「女性たちの物語」7番目の作品となる最新作『Spark and Light』では、韓国系アメリカ人脚本家兼監督キム・ソヨンが監督を務めています。

本作品は、2006年のサンダンス映画祭で特別審査員賞を受賞した『In Between Days』、『For Ellen』、『Treeless Mountain』といった、これまでのキム・ソヨン作品を彷彿とさせる作品に仕上がっています。「私はいつも、家族というものに強い執着があるのです。だから常に家族をより深く理解しようと努めています」キム・ソヨン監督は語っています。

最新作では、2通りのパターンで描かれた母親の姿に、キム監督のコンセプトを見ることができます。1つは病院のベッドで意識不明で横たわっている母親。そして、もう1つは愛に包まれて生き生きと活動している母親。エリザベス役のライリー・キーオの感性豊かな演技が、アイスランドの詩的な孤立感と融合して、この不思議な夢のようなストーリーに広がりを持たせてくれています。

本作は、幼い子供が大人になり、やがて死に向かっていくという、人生のうつろいにスポットを当て、「女性たちの物語」シリーズに新しく知的で情感豊かなカラーを加えました。


Interview with
So Yong Kim

Interview with
Riley Keough

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Photos by Brigitte Lacombe

作品の背景